【要約】
例えば、直線 y=2tx-t2 について、
「ある t を代入したとき、具体的な直線が1本定まる」(順像法)に対して、
「(この直線が)ある点を通るとき、それに対応する t が求まる」(逆像法)という捉え方をしたものです。
【詳細】
逆像法を使った図形の通過領域の問題で具体的に解説していきます。
(1)t がすべての実数値をとるとき、直線 y=2tx-t2 が通過する領域を図示せよ |
今回の問題では、例えば t=1 を与えたときに、直線が y=2x-1 と定まりますが、
同様に t にすべての実数値を代入すれば、直線 lt が次々に定まっていきます。
これらの直線をすべてかき集めた際の領域を求めよ、という問題です。
以上のような発想で、t に値を与えて、xy平面上にできる集合を考える(順に像を追いかけていく方法)を順像法といいます。
一方で、逆像法とは順増法の逆の操作で、xy平面上の点を与えて t がどのようになるかという考え方です。
例えば、xy平面上の点(1, 1)を直線 lt に与えてみます。
すると、lt:y=2tx-t2 より、1=2t-t2 が成り立ち、計算の結果 t=1 となります。
これは「点(1, 1)を通る直線の t の値」であることを意味しています。
次に、点(1, 2)を与えてみると、
lt:y=2tx-t2 より、2=2t-t2 が成り立ちますが、計算してもらうとこれを満たす実数解は存在しないとわかります。
すなわち、点(1, 2)を通るような直線 y=2tx-t2 は存在しない、ということです。
※ まとめると、
・求める領域内の点が与える:その点を通る直線を定める t の値が定まる ・求める領域外の点が与える:その点を通る直線は存在しないので、t も存在しない |
ということになります。
ですので、問題(1)については、求める集合(通過領域)というのはランダムに点(x0, y0)が与えられた際に t の値が求まるような集合、ということになり、
lt:y=2tx-t2 に(x0, y0)を代入した y0=2tx0-t2 で、これに対応するような t が存在すればいい、ということです。
つまり、この式を「tの式」とみなして、t2-2x0t+y0=0 で実数解 t が存在すればいいので、判別式 D が D≧0 という式を立ててください。
結果、y0≦x02 になると思いますので、一般化した「y≦x2」という領域(放物線の下側)が答えになります。
(2)実数 t が t≧0 をとるとき、直線 y=2tx-t2 が通過する領域を図示せよ |
次に(2)についてもほぼ同様ですが、ただ、求まる t の値が t≧0 でなければなりません。
ですので、先程の方程式 t2-2x0t+y0=0 について、この解が 0以上になるような条件を加える必要があります。
つまり、f(t)=t2-2x0t+y0 とおいてもらって、
・D≧0
・軸≧0
・f(0)≧0
という3つの不等式を解くことになります(数Ⅰの2次関数の項目である問題)
【補足】
なお、今回の問題に関しては、y=2tx-t2 は、y=x2 上の点 (t, t2) における接線(※)になっていると気付けば、y=x2 に沿うような形で直線を当てていく、と考えることもできます。(包絡線)
(※ y’=2x より接線の傾きは 2t。接線の方程式は y=2t(x-t)+t2)