〔質問〕 国民純生産(NNP)から国民所得(狭義。NI)を求める際に、間接税は引くのに、直接税を引かないのはなぜですか? |
〔回答〕 間接税を引くのは、‘本来の生産額’ を求める際に、価格に上乗せされた分を引き戻すため。 一方、直接税は、もともと国民が生み出した付加価値分そのもの(を政府が徴収したもの)であるため、引いてはいけない。 |
まず、大前提として、求めたいのは「国民が1年間で本当に生み出した価値」についてです。
「価値」というと捉え所がない感じですが、経済学では「価格」という形で捉えます。
つまり、(偽物であったとしても)販売価格108円の物を作れば、「108円の価値が生み出された」と捉えます。
で、この商品価格(これの合計が国民総生産・純生産)ですが、これは ‘本来の価格’ に間接税分(=消費税)が上乗せされ、補助金の分だけ値引きされていると捉えます。
先ほどの例だと、108円は、本来100円の物として生産されたと捉えます。たしかに108円分の取引があった(=国民総生産または国民純生産)わけですが、本当の意味での生産額(=国民所得(狭義))としては100円ではないのか?ということです。
さらに、例えば2円分の補助金があったならば、本来は102円で、そこから2円分値引きされていると捉えるのです(100円に対して、2円分を足し戻す)
というわけで、国民純生産から ‘本来の生産額’ を求めたい時、上乗せされた分を引き戻し、値引きされた分を足し戻せばいいことになります。ですので、間接税分を引いて、補助金の分を足すのです。
なお、国民総生産や国民純生産は「市場価格表示の国民所得」、国民所得(狭義)は「要素費用表示の国民所得」とも呼ばれます。
さて、これを踏まえて、直接税を引かない理由について。
直接税(所得税や法人税など)は、販売価格に上乗せされたものではなく、企業や個人の所得から政府が徴収するものです。これは、単にお金の所有者が移転しただけのものであって、もともとは国民が生み出した付加価値に由来するものです。
国民所得は大前提として「国民が1年間で本当に生み出した価値」のことですので、直接税の分まで引いてしまってはいけないのです。(間接税は本来の価格に上乗せされたものなので引く)
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