【質問】数学(整数):オイラー関数について φ(pk)=pk-pk-1 になるのはどうしてですか?

〔質問〕
オイラー関数についてです。
φ(pk)=pk-pk-1 になるのはどうしてですか?

また、φ(pq) について、p とq が異なる素数の時、と、p とq が互いに素の時の違いは何ですか?
よろしくお願いいたします。

〔回答〕
まず、1点目ですが、
例えば、35 のケース(p=3, k=5)で考えてみると、
1 から 35 までで、35 と1以外の公約数を持つもの(互いに素でないもの)は、単純に3の倍数のことだけを考えればいいですので、35÷3 の 34個 という形で求まり、
よって、互いに素の整数の個数は、全体 35個 から 34個 を除く、という形で求まります。
これを一般化したのが pk-pk-1 です。

次に、2点目について、
例えば、p=3, q=5 のケースで考えると、(pq=)15 までには、
・3の倍数:3, 6, 9, 12, 15 の5個
・5の倍数:5, 10, 15 の3個あります。
ただし、15が共通していることを考えると、
15と互いに素でないものは、5+3-1 の 7個 ということになり、
よって、互いに素なものは、全体 15個 から 7個 を除いた 8個 という形で求まります。
これを一般化したのが φ(pq)=pq-(q+p-1) を因数分解した (p-1)(q-1) です

3点目については、ややこしいですので、下記、詳細欄を確認してください。

〔詳細〕
p とq が互いに素のときは、上記2つのように考えられませんので、改めて別の作戦で進める必要があります。

例えば p=5, q=6 のケースで考えてみます。
ちなみに、先に答えとしては、
① φ(5):1, 2, 3, 4 の4個
② φ(6):1, 5 の2個
③ φ(30):1, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29 で8個
という関係性です。

まず事実として確認して欲しいのが、③ で列挙した数について、
・5 で割った余りは、① の 1, 2, 3, 4 のいずれか
・6 で割った余りは、② の 1, 5 のいずれか
になっているということです。(※)

例えば、19 の場合だと、
・5 で割った余りは 4
・6 で割った余りは 1 となっています。
(最終的には、③ の各数で、この余りの組合せが全部違っていて、なので 2×4 で 8 が求まる、という方向に持っていきます)

この(※)が言える理由は、
例えば「6 で割った余りが 2(②に含まれないもの)」みたいなことが起こっているなら、n=6×●+2 の形式ということで、2で括れてしまいますので、「30とは互いに素ではない数(③ の中からは除外されているはず)」ということになってしまうためです。
 
 
次に、
・5 で割った余りは 4
・6 で割った余りは 1
となるのが(1以上30以下で)19 以外に存在するのか、ということを検討します。

もし、存在して、それを y とするとき、
19 も y も 5×●+4 の形式のため、19-y は5の倍数で、
一方、19 も y も 6×■+1 の形式のため、19-y は6の倍数でもある、ということになります。
よって、19-y は(5の倍数かつ6の倍数のため)30の倍数ということになり、
19-y=30k(kは整数)で、
移項して y=19-30k より、
y(≠19)は、1以上30以下の間にはないということになります。
(19に30ごと加減した数であるため)

ですので、③ に含まれる数については、
・5 で割った余りの a
・6 で割った余りの b
について、(a, b) の組合せはすべて異なることになり、
a が4通り、b が2通りということで、4×2 の8通りの組合せを考えればいいかな、ということになります。

ただ、これだけだと不十分で、
実はまだ「少なくとも、共通の (a, b) はない」ことしか言えておらず、
もしかしたら、③ の中には (a, b)=(3, 1) みたいな組合せは無いかもしれません。
(最大で8通りとは言えるが、これよりも少ないかもしれない)
 
 
ですので、今度は逆に、(a, b)=(3, 1) みたいな場合も含め、全8通りがきちんと③の中にあることを確認します。
これについては、
・n=5x+3
・n=6y+1
から、5x+3=6y+1(つまり、-5x+6y=2)が得られ、これはいわゆる1次不定方程式の話になります。
この場合だと、x=2-6k が得られ、n=-30k+13 となり、1≦n≦30 で n=13 が存在する、と確認することができます。
(証明としては、これを一般化すればよい)

ですので、① の4通りと ② の2通りの積である8通りについて、漏れなくダブりなく対応する ③ の値が存在する、ということになります。
 
 
※ なお、上記では順番に説明しましたが、
p, q が互いに素のとき、
・p で割った余りが a
・q で割った余りが b
となるような数xが、1≦x≦pq に1つだけ存在することが知られていて、これを「中国剰余定理」と呼びます。

 

※ 理解を優先するために、あえて大雑把に書いてある場合があります

 
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