【質問】数学:正多角形の作図について

〔質問〕
「一つの円に正p角形、正q角形が作図できるなら、正pq角形も作図できる」というのは正しいのですか?
もし正しいのなら、証明もしていただきたいです。
〔回答〕
p と q が互いに素(=最大公約数が1)であれば作図可能です。
互いに素でない場合は一概に言えません

 

解説

正確な議論は大学範囲になりますので、ここではごく簡単に扱います。
まず、作図可能な正多角形は、結果的には、3, 4, 5, 6, 8, 10, 12, 15, 16, 17, 20, 24, 30, 32, 34, 40, 48, 51, 60, 64, 68, 80, 85, 96, 102, 120, 128, 136, 160, 170, 192, 204, 240, 255, 256, 257, 272, … のようなものと求められています

そこで、例えば p=5, q=8 であれば、pq=40 で、実際には作図可能なものとなっています。
一方、p=5, q=10 のとき、pq=50 となりますが、これは作図可能なものに含まれていません。

よって、必ずしも「一つの円に正p角形、正q角形が作図できるなら、正pq角形も作図できる」とは言い切れません。
 
ただし、p=5, q=8 のときのように、p と q が互いに素(=最大公約数が1)であれば作図可能です。
(※ 互いに素でなくても、p=10, q=12, pq=120 のように、作図可能となる場合もあります)
 
互いに素である場合ですが、正多角形が内接する円で考えてみます。わかりやすく単位円で考え、(1, 0)つまり θ=0° の点を A としておきます

まず正p角形の場合、各頂点は「中心から見て(360°を)1/p ずつ」した箇所(1/p, 2/p, 3/p, … )にあります。
正q角形の場合も同様で、各頂点は「中心から見て 1/q ずつ」の箇所(1/q, 2/q, 3/q, … )にあります。
(実際の角の大きさとしては、360°、または 2π(弧度法)をかけてください)

このとき、点A を基準に各頂点を順番に見ていって、どこかのタイミングで 1/pq の差になっている箇所が見つかれば、その2点間を正pq角形の一辺とすることで、正pq角形を書くことができます(その長さをコンパスでとって、円に沿って頂点をとっていけばいい)
 
例えば、正5角形(中心から見て1/5ずつ・72°ごとに頂点)と、正8角形(1/8ずつ・45°ごとに頂点)を考えてみます。
このとき、点A から 72°ずつとっていくと、今回は2つ目で 144°という角が登場します。
一方、点A から 45°ずつとっていくと、3つ目で 135°という角が登場します。
この差の 9°というのが、360÷(5×8)に対応しています。
 
この計算ですが、数Aの一次不定方程式から見つけることが出来ます。

今回は、(1/p)× m -(1/q)× n = 1/pq となるような整数(m, n)が見つかればいいわけです。ちなみに負の数でも構いません。負であれば、点A から逆向きに角を測ってください。

この式の両辺に pq をかけると、qm-pn=1 になります。

そして、p と q は互いに素(最大公約数が1)なので、ユークリッドの互除法を用いて変形すれば、qm-pn=1 を満たす整数解が必ず存在していることになります。
 

アンケートへのご協力をお願いします(所要2~3分)
「将来設計・進路」に関するアンケートを実施しています。ご協力いただける方はこちらよりお願いします
(Googleフォームにアクセスします)

当サイト及びアプリは、上記の企業様のご協力、及び、広告収入により、無料で提供されています