【質問】世界史:ウィルソン大統領の民族自決について

〔質問〕
ウィルソン大統領の提唱した、民族自決について以下の解釈はあっていますか?

「ウィルソン大統領は当時ロシアでロシア革命が起きていることは、各地域で社会主義国家の誕生に繋がると考え恐れていたため、そのような事が起きないように、民族自決を提唱し、ヨーロッパの国々に植民地を独立させ、他の国から支配されないようにし自分たちの国で政治を行うようにするとした。」

〔回答〕
前半部分はOKだと思います。
後半部分に関しては、ドイツとオスマンを弱体化させたかったという、第一次世界大戦も絡めた書き方をした方がいいでしょう。

 

詳細

ウィルソンの「十四か条」は、1918年に議会に向けた教書の中で盛り込まれた「平和原則」ですが、ソヴィエト政府の「平和に関する布告」に対抗したという側面もあります。本当に社会主義革命が起こってしまい、それに対抗する、という点で、質問者の方の書き方はOKです。
実際にチェコ・スロヴァキアやセルブ・クロアート・スロヴェーン(ユーゴスラビア)などが独立しています。社会主義が流れ込んでこないような防波堤を築いた、としてもらって結構です(その後、冷戦時代に西側がギリシア、トルコを支援したように)

ただ、実際の利害関係としては、敵対勢力である「ドイツ、オーストリア・ハンガリー、オスマンの弱体化のために分割を図った」というニュアンスで書いた方がいいと思います。よくヴェルサイユ体制の矛盾として指摘されますが、民族自決の原則はアジアやアフリカの地域には適用されませんでした。あくまでドイツらを分割するために提唱した、もっともらしい、世間受けしやすい理屈だったのでしょう。
 
ですので、「ドイツ、オーストリア・ハンガリー、オスマンを弱体化させるとともに、社会主義勢力に対する防波堤を築くため」でいかがでしょうか?
 
なお、細かい指摘をさせてもらうと、「自分たちの国で政治を行うように」の部分ですが、これはむしろ弱体化させてしまう要因になってしまいます。情勢は変わってはいますが、実際に第二次世界大戦後、ポーランドやハンガリーなどは社会主義側に組みこまれていきました。ですので、そういった意味でも、主眼はドイツ、オスマンの弱体化、という論点の方がいいと思います。
 

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