【質問】高校数Ⅰ:|x|+|x-2|=4をx+x-2=±4で解いたらダメなのでしょうか?(絶対値の和の方程式)

〔質問〕
|x|+|x-2|=4を解く問題で、模範解答では場合分けをして解いてあったのですが、|x|=cの解x=±cを使って、x+x-2=±4で解いたらダメなのでしょうか?答えは場合分けする時と同じになります。
〔回答〕
結論から言うと、この解法はダメで、答えが合った場合はたまたまのものになります。

まず、|x|=c が x=±c になる件ですが、
例えば |x|=4 というのは、日本語に置き換えると「絶対値が 4 であるものは?」と聞かれて「それは具体的に 4 と -4 が該当する」ため、よって x=±4 という答えになるという仕組みです。

言い換えると、「何かの絶対値が定数」の形式(|●|=c)でなければ、上記のように考えていくことができず(「絶対値」の意味合いに沿って考えられず)、結論としても ±c というのを導くことができないのです。

今回のような |A|+|B|=c というタイプの場合、聞かれているのは「Aの絶対値とBの絶対値の和がc」というものです。「何かの絶対値が定数」という状況ではないため、「±c」とすることができないということになります。
(|A+B|=c であれば、A+B 部分をかたまりとみなして A+B=±c になる)

以上のことを踏まえ、絶対値を含む方程式・不等式では、
・絶対値記号が複数ある場合は、やはり、個別に1つずつ外していく必要がある
・左辺全体に絶対値がついている場合に限り、|A|=c ⇔ A=±c という処理ができる
というようにしてください

〔詳細〕
一般に、|A|+|B| と |A+B| は異なる値になります(つまり、別物)。
実際に、例えば、A=3, B=-1 のとき、|A|+|B| は 3+1 の 4 ということになりますが、
|A+B| であれば、先に A+B を計算した 2 の絶対値ということで 2 になります。
そのため、|A|+|B|=|A+B| という進め方ができません。

ただし、A と B が同符号なのであれば |A|+|B| と |A+B| は等しくなります。
A=3, B=1 のとき、|A|+|B| はそのまま 3+1 で 4、|A+B| は |3+1| で |4| より、4。
A=-3, B=-1 のとき、|A|+|B| は 3+1 ということになり 4、|A+B| は |-3-1| で |-4| となってから、よって 4 となります。

ただ、「同符号であるため |A|+|B|=|A+B|」と処理するのは答案上はあまり一般的ではないため、できるだけ原則通り「絶対値記号は1つずつ外す」というやり方で進めてください。
 
 
また、よくある間違いとして、|x-2|=4x のように右辺が定数でない場合、x-2=±4x とすることはできません
=±c のようにできるのは「何かの絶対値が定数」(右辺は定数)の場合に限られることに注意してください。

 

※ 理解を優先するために、あえて大雑把に書いてある場合があります

 
アンケートへのご協力をお願いします(所要2~3分)
「将来設計・進路」に関するアンケートを実施しています。ご協力いただける方はこちらよりお願いします
(Googleフォームにアクセスします)

当サイト及びアプリは、上記の企業様のご協力、及び、広告収入により、無料で提供されています