【質問】公民:「所有と経営の分離」のことがいまいちピンときません

〔質問〕
「所有と経営の分離」のことがいまいちピンときません(所有と経営の分離とは)
〔回答〕
「所有と経営の分離」については、ふつう、株式会社(会社の形態の1つ)について言われますが、
例えば、あるビジネスを1,000万円の資金で始める際、必ずしもこの1,000万全部を自分で用意する必要はなく、他の人に出してもらっても構わないわけです。
仮に、800万円を自分で用意し、200万円を友人のAさんに出してもらう場合、拠出した額に応じて「この会社の権利(株式)の80%は自分に、20%はAさんにある」というようにして株式会社を設立します。
(儲かった際にはこの株式の割合に応じて利益を分配する)

また、あまりなじみがないと思いますが、資金の出し手(株主)と、社長などの経営者は、形式的には別の立場で、法的には「株主が経営者に実際の運営を委託する」というものになります。
社長を誰にするかとか、社長への報酬はいくらにするか、といったことは会議の中で、上記の権利の割合に応じて議決されていきます。
(つまり、株式の割合は、会議における発言権と、利益の分配の割合に影響する)

ふつう、新規でビジネスを立ち上げる際は自分が社長に就くでしょうから、資金の出し手である株主(会社の所有者)と、実際に会社を運営する経営者は「同一人物」ということになります。
この状態のことを「所有と経営の一致」と呼びます。
(形式的には「株主である自分が、経営者である自分に運営を委託している」)
 
 
その後、時間が経過します。
株式会社の1つの特徴として、上記の「会社の権利(株式)」は売買することができるというものがあり、例えば、自分の株式をBさんに売却したり(Bさんが新たに株主になる)、
また、新規プロジェクトを行おうとして、追加的に資金を調達するケース(この場合、新たな出資者に会社の権利の何%かを渡す)も生じたりします。

すると、段々と、株式の所有者と、経営者とが必ずしも同一人物ではなくなってきます。
これが「所有と経営の分離」です。
 
 
以上をまとめると、設立されたばかりの会社は「所有と経営の一致」の状態であることが多く、会社が大きくなるにつれ「所有と経営の分離」の状態になっていくことが多い、という話です。

なお、設立時点で自分自身で資金をあまり用意しなければすでに「所有と経営の分離」の状態ですし、一方、会社が大きくなっても経営者自身が株式の多くを持ち続けていれば「所有と経営の一致」の状態のままということになります。

 

※ 理解を優先するために、あえて大雑把に書いてある場合があります

 
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