〔質問〕 ユキノシタの表皮細胞を見る実験で等張液と高張液を使ったんですが、どんな違いがあるのですか? |
〔回答〕 「原形質分離」を観察する実験です ・高張液を使う場合 ・等張液を使う場合 ・低張液を使う場合 |
詳細
等張液と高張液、低張液について
まず、細胞膜の半透性を理解しましょう。
半透性とは、「小さい分子(溶媒である水など)は通すが、大きい分子(溶質など)は通さない」という細胞膜に見られる性質です(細胞膜のように、半透性をもつ膜を、半透膜といいます)
半透膜を隔てて、2つの濃度の違う溶液が接しているとします。
すると、溶質は移動できませんが、溶媒は移動します(大きい粒は移動できないが、小さい粒は移動する)。
そして、その移動する方向は決まっていて、「溶媒は濃度の低い方から濃度の高い方へ移動」します。「濃度差がなくなるようにする」ためです。
このとき、
濃度が高く、溶媒(水)が入ってくる溶液を「高張液」
濃度が低く、溶媒(水)が出ていく溶液を「低張液」
濃度が等しく、見かけ上、溶媒(水)の出入りがない溶液を「等張液」といいます。
つまり、ある細胞を溶液Aに浸し、
・細胞内から水が出ていけば、溶液Aは「高張液」(溶液側に水が入ってくる)
・細胞内に水が入っていけば、溶液Aは「低張液」(溶液側から水が出ていく)
・細胞内の水の出入りが確認できなければ、溶液Aは「等張液」
ということになります。
また、半透膜を通して溶媒が移動することを「浸透」といい、
溶媒の移動を止めるために必要な圧力(=浸透しようとする圧力)を「浸透圧」といいます。
あわせて覚えておきましょう。
ユキノシタの実験に関して
そして、ユキノシタの表皮細胞の観察の実験ですが、おそらく「原形質分離」を観察する実験だと思われます。
(ユキノシタの葉の裏面表皮は、アントシアン(赤色の色素)を含むため観察しやすい)
※ 原形質分離とは、 細胞を高張液に浸したときに、原形質(細胞膜を含む内側部分)が収縮し、細胞壁から離れる現象 |
<原形質分離の流れ>
高張液に浸すと、細胞内部から水が出ていくので、細胞は収縮したい
→ 細胞壁は丈夫であるため、あまり伸縮しない
→ 細胞膜が細胞壁から離れて収縮してしまう
したがって、ユキノシタの表皮細胞の観察実験では、
・高張液を使う場合
→ 水が細胞の外部に出て、原形質分離がおこり、細胞内の一部分の色が濃くなる様子が確認できる
・等張液を使う場合
→ 水の出入りがないため、特に変化は見られない
・低張液を使う場合
→ 水が細胞内に入ってくるので、色が薄く見える
ということになります
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