【質問】化学(高校):なぜ、SiO2 と Ar は分子間力がなくて共有結合だけなんですか?

〔質問〕

HCIとCO2は共有結合と分子間力が働いていていますよね。
なぜ、SiO2 と Ar は分子間力がなくて共有結合だけなんですか?

〔回答〕

まず、共有結合と分子間力という用語ですが、
・共有結合:(分子内の)原子と原子を繋ぐ結合の話
・分子間力:分子と分子の間にはたらく力
の違いがあります

つまり、HCl の場合、
この「HCl」という1つのかたまりの中での「H」と「Cl」を繋いでいる部分が共有結合で(H-Cl と書いた場合の – の部分)、
一方、「HCl」分子と、また別の「HCl」分子との関係のことが分子間力です。
 
 
次に、分子間力のことですが、その小分類として、さらに
・ファンデルワールス力
・極性引力(水素結合は極性引力の特別なもの)
に分類されます

ファンデルワールス力はいわゆる万有引力によるもので、これはすべての分子間で生じます。
一方、極性引力は、極性分子同士が静電気的なパワーで引き付け合うことによるものです。
 
 
以上を踏まえて質問の件を説明すると、
HCI と CO2 は、まず分子内のこととしては各原子同士が「共有結合」で結びついています。
次に分子間力については、ともにファンデルワールス力としての分子間力ははたらいていますが、
それに加えて、HCI の方は極性分子ですから、極性引力による分子間力もはたらいている、というものです。
(HCI は両方、CO2 は無極性分子なのでファンデルワールス力だけ)
 
 
次に、SiO2 ですが、共有結合でできる物質としては特殊なもので(黒鉛などとともに「共有結合結晶」と呼ばれるもの)、
これは「CO2」のように3原子だけで分子ができているのではなく、実際には大量のSiと大量のOがすべて繋がって、1つの大きなかたまり(巨大分子)を形成している物質になります。
そもそも分子間力は「分子が2個以上ある場合に、お互いの間ではたらく」というものですので、「巨大な1個しかない」状態について分子間力を考えることができない、ということになります。

※ もちろん、SiO2 のかたまりを隣にもう1つ置けば、これらの間には万有引力は生じますが、これは「りんごを2個並べてみた」というような話のことで、化学というよりは物理の話になります。
 
 
あと Ar については、単原子分子(原子単独で存在)で、つまり、他の原子と結びつくものではないですので、(原子と原子の結合である)共有結合は関与していないです。
一方、分子間力については、正確にはファンデルワールス力の方は生じています。
ただ、ファンデルワールス力は(極性引力に比べて)非常に弱いですから、「分子間力がない」と習ったのであれば、実際には「無視してみた」という意味合いになっています。

※ 質問文で「Ar は分子間力がなくて共有結合だけ」となっていますが、これは違っていると思われますので、再確認してみてください。SiO2の方は大丈夫です

 

※ 理解を優先するために、あえて大雑把に書いてある場合があります

 
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