【質問】化学:反応物の持つエネルギーの総和が生成物の持つエネルギーの総和よりも大きい場合の反応

〔質問〕
化学反応において、反応物の持つエネルギーの総和が生成物の持つエネルギーの総和よりも大きい場合(  )反応が起こる。

この答えが発熱反応なのですが、
反応熱=生成物の持つエネルギー-反応物の持つエネルギー
を使うと答えが負になって吸熱反応になるとしか思えなくて困っています。

出来ればこの式を使って説明してください。

〔回答〕
まず、この問題の答えから言うと、例えば A → B のような反応が起こる場合、
「反応物の持つエネルギーの総和が生成物の持つエネルギーの総和よりも大きい」というのは、「B の状態でいるのに、A ほどのエネルギーは必要としない」ということで、「不要なエネルギーを放出する」という意味で発熱反応になります。
 
 
式の方ですが、まず教科書等で、正しくは「反応熱=(生成物の生成熱の和)-(反応物の生成熱の和)」または「反応熱=(生成物の結合エネルギーの和)-(反応物の結合エネルギーの和)」であることを確認してください。
以下のエネルギー図でいうと、求めたい反応熱は「A」と「B」の水準の差(赤矢印の部分)で、これは生成熱の x, y を用いるなら「y-x」として求まる、というものです。
 

 
一方、今回の「反応物の持つエネルギーの総和」「生成物の持つエネルギーの総和」という言い方だと、水準の高さ自体を言っていることになりますので、
「単体(または原子)」のエネルギーの水準を仮に z とおくと、A:z-x, B:z-y で、ここから (z-x)-(z-y) という計算を行う必要があります(※ (z-y)-(z-x) ではない)。
ですので、こちらを使うのであれば「反応熱=(反応物の持つエネルギーの総和)-(生成物の持つエネルギーの総和)」ということになります。
(「A=B+?」で、移項すれば「?=A-B」)
 
こうした違いが生じてしまう原因ですが、「生成熱」の値の扱い方が違っていることによるものです。
例えば、生成熱として x=80, y=100 のとき、差は 100-80 で 20 ということになりますが、これは「単体(または原子)から失われたエネルギー」を正の値として扱い、その上で「失われたもの同士の差」から逆算的に求めるという発想をとっていることになります。
ですが、エネルギーの総和(エネルギー図での高低)という話であれば、失われたものは負の値として、つまり、「単体(または原子)」と比較して「それぞれ -80, -100」として扱う必要があり、その上で A の水準と B の水準を比較していることになります。
そのため、最終的な答えである「20」を得るためには、(正負の扱いが逆であることに起因して)引き算の方向も逆にする必要があった、というものです。

※ 前者は「取り出されたエネルギー」自体の比較、後者は「物質側に残っているエネルギー」の比較

 

※ 理解を優先するために、あえて大雑把に書いてある場合があります

 
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