〔質問〕 薄い溶液の方が電離度が高いのはなぜですか? |
〔回答〕 ものすごく単純化して言うと、水溶液中で存在できる「イオンの総数」には限りがあり、濃い溶液で高い電離度だと生じるイオンが多すぎてしまうためです(濃い溶液なら電離度は低くないとダメ)(※)。 薄い溶液(A分子20個とします)の場合、半分の10個分が電離すれば、A-, H+ がともに10個の計20個となって、ちょうどいいことになりますが、 ということは、薄い溶液が 10/20 の電離度であるのに対し、濃い溶液なら 10/100 の電離度ということになり、薄い溶液の方が数値として大きいことになります。 |
実際には A → A-+H+ という反応(①)と A ← A-+H+ という反応(②)の両方が起こり、これらのバランスがちょうど釣り合ったときのことを考える必要があるわけですが(電離平衡)、
濃い溶液の場合、たしかに ① は多く起こるものの、A- と H+ が多く生み出されることで ② が起こるチャンスも提供してしまうことになります(A- と H+ が出会いやすくなる)。
そのため、薄い溶液の場合と比較して、A に戻ってきてしまう分が多く、電離度の値としては小さくなります。
電離定数の件で解説すると、K=[A-][H+]/[A] で、例えば [A] が2倍になったとき、電離度が一定なら [A-] も [H+] も2倍になるはずですが、そうすると「分子は計4倍、分母は2倍」となり、分数全体としては2倍になってしまいます(Kは変化しないはず)。
言い方を変えると、[A] が2倍なら、[A-] と [H+] は √2 倍ずつ、みたいなことになる必要があり、濃度が濃くなっても電離で生み出される A- や H+ の数はそこまでは増えない(つまり、電離度は下がる)ということになります。
※ 理解を優先するために、あえて大雑把に書いてある場合があります |
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