【質問】化学(高校):塩基を薄めてもpHが大きくならない(強塩基にならない)のはなぜですか

〔質問〕
塩基を薄めてもpHが大きくならない(強塩基にならない)のはなぜですか
〔回答〕
水の性質として、
・水分子も一部は電離する
・水素イオン濃度×水酸化物イオン濃度=10-14 になるように調整される
というものがあります。

たしかに塩基を薄めることで、一見、H の濃度が下がってpHとしては増えるように思えますが、
実際にはそれを調整するように水が新たに電離し、結果として H が増える(=pHの値が小さくなる方向に進む)ということが起こります

〔補足〕
※ 数値例
例えば、水酸化物イオン濃度が 10-2mol/L なら、水素イオン濃度は自動的に 10-12mol/L となります。
(積が 10-14 であるはずのため)

この水溶液(塩基性)を100倍に薄めた場合、一見、
・水酸化物イオン濃度が 10-4mol/L
・水素イオン濃度が 10-14mol/L
になる(それぞれ1/100倍)ように思えますが、
この積が 10-14 ではないため、電離による調整が行われ、
実際には、概ね「水酸化物イオン濃度が 10-4mol/L、水素イオン濃度が 10-10mol/L くらいのところ」で落ち着くことになります。
(水酸化物イオン濃度は下がっている。塩基としては薄くなっている)
 
 
なお、ここで水酸化物イオン濃度が 10-4mol/L のままでほとんど変わらない理由は、
[OH]=0.0001mol/L(10-4
[H]=0.00000000000001mol/L(10-14)に対し、
水の電離でそれぞれ 0.0000000001mol/L(10-10)分ずつ追加されると(増加分は同数)、

[OH] の方は 0.0001000001mol/L となって、ほとんど 0.0001mol/L のまま変わらない一方、
[H] の方は 0.00000000010001mol/L となって、近似値としてはこの赤の方を採用することになることで、積としての 10-14 を満たすことになるためです

※ 水素イオンの増加数が、水素イオン濃度に与えるインパクトが大きい

 

※ 理解を優先するために、あえて大雑把に書いてある場合があります

 
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