〔質問〕 2008年度に、名目GDPは490兆円、実質GDPは505兆円であったとする。このときのGDPデフレーター(基準年を100とする)はいくつになるか、という問題が分かりません。 |
〔回答〕 公式としては「GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP×100」で求まります。この公式に当てはめると 97 というのが求まります。 (理屈は以下の通りです) GDPデフレーターは物価の変化を見るための指標です。 つまり、物価がどれだけ変化したのか、という観点で考えてみてください。 まず、経済学では「名目」とは「金額ベース」のもの、「実質」とは「物の数ベース」のもの、と覚えてください。 ・ある年に100円の物が10個売れた場合、計1000円 ・次の年に同じ物が110円で12個売れた場合、計1320円で、 売上は「+約3割」になっていますが(名目GDPに対応)、よく見ると売れた物の数としては「+2割」(実質GDPに対応)となっています。 この差異は価格の変化(+1割)から生じているわけですが、これがいわゆるデフレーターの部分です。「名目GDPの変化率」と「実質GDPの変化率」の差に相当します。 (※ この例の場合だと (1+0.1)×(1+0.2) の計算をする際に 0.1×0.2 の部分のせいで若干誤差が出てしまいますが) これを踏まえて、今回の問題では、名目GDPが490兆、実質GDPが505兆となっています。 基準年が実際にいくらだったかはわかりませんが、わかりやすいように仮に500兆円だったとしたら、「そこから売上高は2%ダウンしたが、売れた個数は1%増加していた」という状況になっています。つまり、その分「物の価格が落ちていた」ということです。 「名目GDPの変化率」と「実質GDPの変化率」の差が「物価の変動分」という関係を使うと、 (-2%)-(+1%)=-3 というのが求まります。 つまり、物価は3%落ちていたわけです。 これをGDPデフレーターでは、基準年から見た指標で表しますので、基準年100に対して、「価格が3%落ちた」ということで、97 というのが答えになります。 これを手っ取り早く計算するには、冒頭の「名目GDP÷実質GDP×100」を使えばOKです。 なお、補足ですが、本来なら、名目GDPを集計した後、物価の変化を推計して、そこから実質GDPを算出する、という手順を踏みます。 今回の問題では、名目GDPと実質GDPが与えられて、そこから「使われたデフレーターは?」という逆算的な形になっています。 |
アンケートへのご協力をお願いします(所要2~3分) |
---|
「将来設計・進路」に関するアンケートを実施しています。ご協力いただける方はこちらよりお願いします (Googleフォームにアクセスします) |