〔質問〕 日清戦争の賠償金ってあんなにたくさんもらったら過度なインフレになりかねない気がするんですが、実際大丈夫だったのですか?逆に払った側の中国も、払った分だけ印刷しなおして実質ノーダメージってことにはならなかったのでしょうか? |
〔回答〕 結論としては、賠償金のことでのインフレは起こっていません。 まず、「インフレ」についてものすごく簡単に説明すると、世の中に物が1万個あるとします。これに対して100万円の紙幣を発行すれば、1個当たり100円という価格になります。ですが、物の数が変わらない状況で200万円の紙幣を発行すれば、1個当たり200円となり、表示価格だけが2倍になっています。このとき、同時に1円の価値が下落(100円当たり机1個が、100円当たり0.5個に下落)しています。これがインフレの仕組みです。 実際の経済としては取引量が関係しますが、要は「物の量と発行額」がつり合っているかどうかが重要です。 さて、今回のケースですが、中国から2億両を受け取ったということですが、(特に清は銀本位制を採用していましたので)実際にはこれだけの「銀」を受け取ったと思ってください。 たしかに、もしこの銀が国内でばら撒かれたら急激なインフレが起きますが、実際には海外から物を輸入してその代金に銀を充てることができますので、結局は「物をいっぱいもらった」状況になっているということです。これ以上のことを私は知りませんが、実際に海外から資材等を買っているはずです。 (なお、貨幣発行量が変わらず、物だけが増えたとすれば、理屈上はむしろデフレになります) また、当時の日本は銀本位制になっていましたから、貨幣を発行するにしても銀という物に裏打ちされたものになっていました。ですので、貨幣価値がとんでもなく独り歩きするような状況にはなっていませんでした。 一方、中国側のことですが、こちらも銀本位制を採用していましたので、勝手に貨幣発行を増やしてはいないと思います(もし勝手に増やしていれば、銀との交換比率が変わってしまい、貨幣価値が下がります(つまりインフレ))。 ですので、単純に「持っていた銀を失った」というように考えてもらったらいいと思います。 |
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