これは受験勉強に限ったことではありません。むしろ社会に出てから求められるスキルですので、早い段階でこの「現状を把握する」という力は身に付けておいてください。
そもそも、やみくもに志望校合格とだけ叫ぶのは危険です。方位磁針すら持たずにアメリカを目指して海に出るようなものです。結果的にたどり着くかもしれませんが、きちんと現在位置を把握しながら、途中の目印に沿って航海していかないとゴールにはたどり着けません。
そしてポイントは、目標と現状のギャップを埋める作業をしていくということです。そのためにもまずは現状を把握しておく必要があるのです。
学力の現状把握には2つのポイントを意識してください。
(1)入試時点で必要な学力と、現在の学力の差
(2)現時点での、同学年内での学力(=偏差値)
まず、(1)については、最終的に必要な学力を把握するために必要なことです。そして、残りの時間から逆算して、各問題集をマスターしていくペースなどを予め知っておいてください。
マラソンと同様、消化ペースを確認しながら、スピードアップや作戦の練り直しを定期的に行うことで、ちゃんと時間通りに目的地に到達することができます。
問題集については「志望校レベルに合致したもの」を選べばいいと思います。入試前を除いて、自分で過去問を研究する必要はありません。むしろ大人たちが過去問を研究した上で、必要な知識を1冊の本にまとめてくれているわけですから、それに集中するだけでOKです。
(早い段階で本番の入試問題を見ると、出来なさすぎてげんなりしてしまう危険性もありますので)
また、今、成績がいまいちな人でも、入試までの時間が残っていればいるほど取り返しはつきます。高3の冬に偏差値50で、現役で東大に行きたいと言ってもさすがに無理があります。一方、もし高1の段階であればまだまだやりようがあります。できるだけ早い段階で、最終ゴールとの距離感を把握するようにしておいてください。
もう1つの視点が、(2)の「現時点での、同学年内での学力(=偏差値)」を把握しておくことです。相対的な位置(=ライバルとの比較)を知っておくということです。
実際の入試では、同学年(+浪人生)との順位争いをするわけで、極端なことを言えば年によって必要な学力は異なります。ですので、(みなさん自然と見ていると思いますが)同級生の中でどれくらいの位置にいるのか、ということはしっかり把握しておいてください。
その際に便利な指標が、いわゆる「偏差値」です。賛否はありますが、単純に偏差値の値で判断してしまって構いません。
現在の偏差値と、志望校のレベルとに差がある場合は、その差を埋める方法を考えないといけません。「原因を具体的に突き止める」(詳しくはこちら)ということをしながら、(1)のスケジュールと併せて日々の学習を進めてください。
※(補足)「急がば回れ」
・現状の成績と志望校レベルに大きな乖離がある
・偏差値が伸び悩んでいる、または落ちてきている
この場合は、目先の成績は気にせず、とにかく基礎固めに時間を使ってください。
「簡単な問題集」が100%できるという状態にしていってください。高校生は「中学生用の問題集」(中学生なら小学生用問題集)にまで、さかのぼってみてください。