〔質問〕 水溶液中では電解質のすべてが電離するわけではないのに、 中和の計算をする際に電離度のことを考慮しなくていいのはなぜですか? |
〔回答〕 中和反応が進むにつれて、新たに H+ または OH- が生成されていくため、初めから 100% 電離しているような感じで計算して問題ありません。 |
※ 以下の説明では、塩化水素(HCl。水溶液の名前としては塩酸)に水酸化ナトリウム(NaOH)を入れていく中和反応を例とします。
たしかに最初の段階では、塩化水素(HCl)であっても完全に H+ と Cl- に分かれているわけではありません。特に酢酸のような弱酸であればあるほど電離度は低いです。
その状態から中和反応が起こるわけですが、
反応が進むことで、元HCl の H+ と、元NaOH の OH- が H2O となり、イオンである H+ は無くなっていくことになります。
ところが、実際には、塩化水素は「一定割合で電離している状態」を維持しようとします。
もともと存在していた H+ が無くなっていく分、新たに電離することで H+ を生み出していくのです。
つまり、たしかに「電離度」の影響で、同時には水溶液中で H+ は一定程度しか存在できませんが、中和反応が進むにつれて新たに H+ が供給されていくことになり、これが中和反応が終わるまでずっと繰り返されていくのです。
ですので、中和の計算をする際は電離度のことを考慮する必要はない、ということになります。
アンケートへのご協力をお願いします(所要2~3分) |
---|
「将来設計・進路」に関するアンケートを実施しています。ご協力いただける方はこちらよりお願いします (Googleフォームにアクセスします) |