生物基礎:からだを守る仕組み

<ポイント>
・皮膚や粘膜は「物理的・化学的に」異物の体内への侵入を防ぐ役割がある(生体防御)
・皮膚は、ケラチンというタンパク質で角質層をつくり、水分の蒸発や異物の侵入を防いでいる
・体内に入った異物を排除するしくみを免疫という
ヒトは日々、病原体などの異物から身を守りながら生きています。
(ここでの異物とは、「ヒトのからだ・健康にとって、害になるもの」と考えてください)
その身を守る仕組みは大きく分けて、2つに分かれます。

「異物がからだに入らないようにする」仕組みと、「からだに入ってきた異物を排除する」仕組みです。
これらの「からだを守る仕組み」を生体防御といいます。

(1)「異物がからだに入らないようにする」仕組み
皮膚や粘膜があることにより、異物がからだの中に入らない(入りにくい)ようになっています。
「物理的・化学的な防御」のことです。

・皮膚
ケラチンというタンパク質で角質層をつくって、「(からだの中からの)水分の蒸発を防ぐ」ことや、「病原体などの異物の侵入を防ぐ」はたらきをしています。

皮膚にある汗腺(汗が出る小さな穴)から、酸性の分泌物を出して「細菌の増殖を防ぐ」ことも行っています。
また、リゾチームディフェンシンなどの、「殺菌力のあるタンパク質」を分泌して、細菌を殺すこともあります。

・粘膜
鼻や口、のど・気管・消化管などにある「粘膜」は、「繊毛運動により異物を排除」することができたり、殺菌力のある物質を分泌することができます。このはたらきによって、病原体の増殖を抑えています。
(繊毛運動とは、粘膜の表面がごくわずかに動くことによって、異物を少しずつ体外へ排出する動き)

(2)「からだに入ってきた異物を排除する」仕組み
体内に侵入してきた異物を排除する仕組みを免疫といいます。
免疫には2種類あって、それは「自然免疫と獲得免疫」です。

①自然免疫
免疫のうち、「生まれながらに備わっている」細菌などを排除する仕組みを自然免疫といいます。
これは主に「白血球による食作用」によるものです。
(食作用とは、細胞が「異物を包み込んで消化・分解する」作用のこと)

②獲得免疫
病気にかかった後に、「その病原体に対する免疫」を獲得します。
このようにして得た免疫を獲得免疫(適応免疫)といいます。

さらに獲得免疫は、「細胞で異物を攻撃する」細胞性免疫と、「抗体によって攻撃する」体液性免疫に分けることができます。

このように「からだの中に入る前と入った後」のそれぞれで、病原菌などの異物に対して抵抗する仕組みを我々のからだは持っているのです。

<補足>
「殺菌力のあるタンパク質」として例に挙げた「リゾチーム」は、酵素の一種で、細菌の細胞壁を分解することで、その細菌を破壊します。

また、「ディフェンシン」は、(標的)細胞の細胞膜の細胞膜に結合して、細胞膜に穴を開けることで破壊します。

<まとめ>
・皮膚や粘膜は「物理的に」異物の体内への侵入を防ぐ役割がある(生体防御)
・皮膚は、ケラチンというタンパク質で角質層をつくり、水分の蒸発や異物の侵入を防いでいる
・体内に入った異物を排除するしくみを免疫という

 

※ 理解を優先するために、あえて大雑把に書いてある場合があります

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